このところの市場の反応を見ると、バイクは供給が需要を超える傾向が明らかだ。
■すでに飽和?
中国、インド、インドネシアに次ぐ世界4位のバイク市場とされるベトナム。近隣のタイでは、バイク利用率が2.9人に1台となり、飽和水準に達したとされている。一方でベトナム商工業省は、ベトナムにタイのような飽和期が訪れるのを2020年と予想する。同省の試算によると2020年に全国を走るバイクは約3,350万台、このときの人口が9,960万人で、利用率は2.97人に1台。
政策研究大学院大学の大野健一教授も同じような見方で、飽和期はバイクが3,000万台に達したときだとしている。これは2017~2020年に訪れる予想だ。
しかし昨年8月に交通運輸省が示した統計によると、全国を走行するバイクはすでに3,340万台に達している。これが正しければ、バイク市場はもう飽和水準に達しているということだ。
こういった統計に頼らずとも、市場はすでに答えを出しているのかもしれない。昨年のバイク市場は予想より低調だった。年末に近づくほど伸び悩み、テト(旧正月)が近づいても、市場は温まらなかった。各社が次々にキャンペーンを打ち、値下げしたにもかかわらずだ。
また輸入も、統計総局によると6万6,000台にとどまり、金額にして9,400万ドル。これは量で38.9%、金額で27.8%減。2011年はDucatiやKawasakiといったブランドも鳴りを潜めた。
■生産拡大に増える在庫、残された道は
2011年のバイク産業の在庫指数は2010年比で41.7%増。生産・販売指数の増加率の倍で、市場の購買力は、生産の増加率より落ちているということだ。ただ購買力が落ち、在庫が増えているにもかかわらず、メーカーは競うように生産能力を引上げている。
Honda、Piaggio、Yamaha、Suzukiは次々と新工場建設や生産拡大を発表、2010年にHondaは7,000万ドルを追加投資、工場を拡大し、Vinh Phuc省の2工場の生産能力を年150万台から200万台に引上げている。これに続いてDong Van 2工業団地で第3工場に1億2,000万ドルあまりを投じ、3工場の生産能力は年250万台となっている。
Yamahaも工場拡張に3,000万ドルを追加投資、生産能力は150万台になり、PiaggioもVinh Phuc省工場を昨年4月に拡大、生産能力を年30万台に引上げている。このような状況から、バイクの国内生産総数は年約500万台に達する。これに対し国内販売は2011年で330万台どまりで、200万台近くの余剰がある。
このような状況では、適切な計画がなければ、ベトナムのようにバイクの成長を制限する政策を採っている国には、さまざまな問題が生じる。メーカーの生産能力はだぶつき、SYMやSuzukiといったシェアの小さい企業は、より困難にぶつかるかもしれない。
だがメーカーは、統計が実際を反映していないという考えだ。いずれも、ベトナムは他市場と非常に異なり、飽和期はまだ先としている。彼らは今後のバイク市場の成長を信じているが、ホーチミン市やハノイといった大都市のバイク制限政策が、これらの地域でのシェア拡大の障害となるかもしれない。
となると各メーカーには2つの道しか残らない。農村を攻めるか、輸出に動くかだ。しかし農村市場は安価なマニュアル車しか適しておらず、中国車の市場となってきたところだ。いまメーカーはスクーターにシフトしており、農村への道は厳しいかもしれない。
もうひとつの道は、PiaggioやHondaがより遠くを見据え考えているものである。これらのメーカーは、低廉な労働力というメリットを生かし、ベトナムを近隣市場に供給するバイクの一大生産拠点としようとしている。
世界の色々な地域で、
日本のバイクが活躍している映像を目にする。
都会のアスファルトや、山道を
力強く走る姿は、けっこう鼻が高くなる気持ちだ。
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